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本誌APC(神奈川)/平林 潔
掲載号: 2010年5月1日号
海苔団子になっちゃった
夏の釣り魚として知られているが、春の釣れっぷりもなかなか!
月日のたつのは早いもので、気がつくと歳をとっていたり、子どもたちが独立したり。釣りの世界でも月日の流れのなかで色いろな変化が起こったものだ。そういえば、マゴチ釣りにサイマキを使い始めたのは鶴見の新明丸だったっけと思い出し、新明丸の親方に尋ねてみた。
「そうだよ。もう10数年も前のことだねえ。サイマキなんかじゃ釣れないって言われたりしてねえ」
僕もそのころはマゴチのエサはアカエビかメゴチと思ってたから、半信半疑で(親方、すいません!)新明丸を訪ねた1人だ。
今ではマゴチ釣りで当たり前に使われるようになったサイマキエサだが、それはアカエビが安定して手に入らなかった新明丸の苦肉の策だったんだ。
そんなことを思い出しながら、4月3日に元祖サイマキマゴチの老舗、新明丸へと車を走らせた。
スタートして間もないが、先週の日曜には3本が3人でスソが1本、他は2本でオデコなしという好調だ。
前日は台風並みの強風が吹いて電車が止まったり、けが人が出たりの大変な日だったが、幸い当日は風も収まってナギ模様のポカポカ陽気。大シケの影響が心配だが、まあなんとかなるだろう。
しばらくぶりのナギ日とあって、マゴチ乗合には11名が乗り込んだ。
定刻の7時半に親方の操船で出船、第二海堡周りのポイントへと走った。
8時半前に到着したが、困ったことに海が白っぽく濁ってしまってる。最悪の潮色だ。海藻も流れているから、かなりひどく底荒れしてるかもしれない。
案の定、スタートしても船中アタリなしの状況が延々と続く。海水温はやや上がってきているので水深15〜18メートルそこそこの比較的浅いポイントを流したのだが、しばらく仕掛けを入れているとエビに海苔が絡みついて海苔団子状態になってしまう。
マゴチは海苔団子は食べないだろうし、それよりも心配なのは海底に海苔の絨毯(じゅうたん)が敷かれていてマゴチがその下に隠れているのではないかということ。そうだとすると、エビを見つけるのは至難の業。
おまけに、北寄りの風という予報を信じて左トモに入ったのだが、実際は南東の風で1時半の下げ止まりまでは一番の貧乏くじをひいたことになる。こりゃあ参った。
マゴチ釣りはアタリがあるまではしっかりとタナ取りして待つ釣りだ。
「アタリがなく、一日中待ち続けるだけで終わっちゃったらどうしよう」という不安が大きくなっていく。
Page1 海苔団子になっちゃった
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