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本誌APC(東京)/鈴木良和
掲載号: 2010年6月15日号
タイは浮いていない!
いきなりズドン! ときます。心の準備もお忘れなく
9時になり右ミヨシの菊池さんの竿がこれまでにない引き込みをとらえた。
間違いない。時折見せる強烈な抵抗はマダイそのもの。
慎重に浮かせたのは3キロの立派なメスのマダイだ。
菊池さんはタナから徐々に誘い下げて、そろそろ回収しようかと思ったときに食ってきたらしい。
ん?
ということは、食い気のあるマダイは浮いていないということか?
そこで船長はタナを38メートルにそろえるように指示を出した。この判断が功を奏することになる。
菊池さんにマダイを持ってもらっての写真撮影。そこへ船長の声。「菊池さ〜ん。食ってるよぉ!」
一瞬、状況が理解できない私たちであったが、置き竿にしていた菊池さんの竿が大きくたたかれているではないか。
慌ててバトルに戻る菊池さん。竿のしなり具合で、相手はマダイだと分かる。
釣り上げたのは2.5キロの腹がパンパンになったメスのマダイ。これぞ乗っ込みダイと呼ぶにふさわしい1枚だ。
直後に右舷胴の間の川副さんの竿先が海面に没した。かなりの大物らしく、竿がのされてドラグが滑り、道糸が引きずり出されている。
激しい突っ込みに耐え、徐々に魚を浮かせるだいご味。そして、タモに収まった瞬間に一気に噴出するアドレナリン。経験した人だけが味わえる満足感。こればかりは例えようがない。
取り込んだのはジャスト4キロの黒々としたオスのマダイであった。
これを横目で羨ましそうに見ていた本山さんにもすぐにアタリが訪れた。慣れない手つきで周りからアドバイスが飛ぶ中、うれしい3キロ級を取り込む。
そして、フィナーレを飾ったのが3枚目を釣り上げた菊池さん。
と、怒とうのような30分が経過すると、食いは止まってしまった。
しばらく粘っても反応はなく、水深32メートルの根周りへ移動したが、型を見ることなくこの日は終了となった。
その後の伝五郎丸の釣果はオデコなしでトップ6枚の日もあるなど好調を持続。6月も大ダイ記録を更新するチャンスといえよう。
もちろん、今回オデコに終わった私もリベンジに出かける予定だ。
[伝五郎丸]鈴木長喜船長
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