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本誌APC(神奈川)/平林 潔
掲載号: 2012年11月1日号
釣れるのはなぜかベラばかり
カーボンロッドとはまた違った釣趣を楽しみましょう
若いころ、カワハギは竹で作った和竿で釣る魚という感覚が強かった。
もっとも、僕が若かったころだから、だいぶ昔のことになる。当時は乗合船に乗っても、和竿を使う人が圧倒的に多かった。
そんなこともあって、僕の手元には竹製のカワハギ竿がいつの間にか増えていった。
時が流れてカーボン製のカワハギ竿も色いろと発売されたが、セミクジラ穂先の和竿の調子にはどうにも及ばなかった気がする。
ただここ何年かは、細いPEラインの特徴を生かした新しい釣り方とセットになり、カーボン製のカワハギ竿が主流になっている。それは和竿の調子を真似るという従来のカーボンロッドの感覚ではなく、全く別のゲーム感覚から出発して進化した竿だと僕は考えている。
一方で和竿ならではの独特の釣趣と釣り方に魅了され続けている人も多く、和竿のカワハギ釣りの伝統と技は今も脈々と受け継がれている。
今年で4回目を迎えた「和竿で釣るカワハギの会」もそんな人たちが集う大会で、各地のカワ研のベテランたちも顔をそろえている。
この会を主催する三浦半島小網代港.丸十丸の小菅裕二船長がこの大会に注ぐ熱意は並々ならぬものがあり、今年は68名がエントリーし、4隻に分乗した。
釣果ではなく釣りの楽しみを競う大会だけど、当日釣ったカワハギ3枚の合計重量で順位は決まる。
僕が丸十丸に到着したのは6時過ぎ。すでに何人もの人が集まっていたが、知った顔も多い。
受付を済ませたあとで釣り座の抽選。僕が引いたのはC船の3番。左舷トモ寄り3番目の席だ。
左隣は横浜竿の作者である汐よし師匠、左舷ミヨシはご存じ村越正海さん。うーん、これはなかなか厳しい。
村越さんはいつものとおり、愛用の和竿にスピニングリールをセットしている。
村越さんと色いろ話をしたが、スピニングリールの進化がめざましく、ベイトリールの性能を超えてしまっているというのが現状のようだ。
4隻の船は定刻の8時ちょうどに出船。僕が乗ったC船は小菅裕二船長が舵を取り、小網代港真沖の水深30〜40メートルのポイントへ。
台風の影響で風がやや強かったが、海はそれほど荒れてはいない。潮色もいい。
ということで初っ端からバタバタと食ってくると期待したが、釣れるのはなぜかベラばかり。汐よし師匠は、
「小網代のカワハギは目覚めが悪いから、食い始めるのが遅いんですよね」という。
それでもたまにポツンと小型が顔を見せた。
9時前に右舷ミヨシでまずまずの型が取り込まれると、これを皮切りに左舷で20センチオーバーがバタバタと釣れ始めた。
僕も撮影をしながら良型2枚をゲット。その後も小型を交えていい感じで数をのばすことができた。
汐よし師匠は一荷釣りも披露し、猛烈な勢いで数をのばしている。
僕の釣り方はユラーッ、ユラーッとゆっくり大きくタルマセたあとゼロテンション状態に戻してアタリを待つ。それから竿先を持ち上げながら竿を揺らして誘い上げて底まで落としたあと、ゼロテンションでアタリを待つことの繰り返し。なんとなくだけど、この日はシャカシャカと激しく誘わないほうがいいような気がしたし、型のいいカワハギはゆったりした誘いの動作のほうが釣れやすいと思っているからだ。
この釣り方を10時半まで続けて7枚キャッチ。船中全体ではオデコや1枚きりという人がいたので、まずまずのペースかもしれない。
Page1 釣れるのはなぜかベラばかり
Page2 大型のバラシが響く
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