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[ヒラメ]
銚子外川港発…外川沖 長栄丸

銚子の夏ビラメ出足良好! ファン待望のシーズンイン

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本誌APC(東京)/ 鈴木良和
掲載号: 2011年7月15日号

何もかも私のせい !?

 


私の声でぶち壊しになるところでしたが、なんとか釣れました。ホッ
アタった後で糸にテンションをかけて食わせるのは高等テクニック


 釣りをしているときの期待と不安、エサをなかなか食い込まないときのもどかしさ、ハリ掛かりさせた直後の興奮、取り込まれたときの安堵と充実感……。
 ヒラメ釣りはまるで心をもて遊ばれているようだ。でもそんな釣りだからこそ夢中になってしまう。
 
 毎年6月から解禁するのが銚子エリアのヒラメ。ファンにとって手に汗握るシーズンの幕開けだ。
 「ヒラメの経験はないけれど、私でも釣れるかしら?」と同行を希望する女性アングラーの福水孝枝さんを連れて、6月18日に訪れたのは外川港の長栄丸。
 私は彼女のために2種類のタックルを用意し、
 「置き竿で狙う? それとも竿を手で持って攻める?」と尋ねてみた。
 置き竿用のタックルは全長3メートルの6:4調子のグラスロッド。攻める竿とは長さ2.7メートルの7:3調子の軽量竿のことだが、
 「攻めてこそ釣った気がするから……」と強気な彼女が選んだのは後者であった。
 定刻5時になると9名の釣り人を乗せて出船。
 前日まで降った雨で潮が濁っていないか心配したが、雨の影響はほとんど感じられなかった。海上も無風のベタナギである。
 ここで脳裏をかすめたのはナギ倒れ。
 「どうか潮が動いていますように……」と祈りながらポイントへと向かった。
 20分ほど走ると速度が落ちた。到着したのは外川沖の水深20メートル前後。
 海底は岩と砂が混じりあっていて、たまにツブ根があるものの起伏はせいぜい1.5メートル前後。どちらかというと根掛かりの少ない釣り場らしい。
 魚探の画面を見るとイワシの群れが真っ赤に映し出されており、
 「イワシを大量に食っているからヒラメも太り始めているよ」と船長は教えてくれた。
 まもなくエサのマイワシが配られ、準備ができた人から投入となったが、ヒラメ初挑戦の福水孝枝さんのために私は簡単なレクチャーをする。
 まずはこの釣りの要点であるエサ付けから。
 「ほら、イワシの上アゴに少し硬い部分があるよね。ここに親バリをしっかり掛けてね。孫バリは背ビレの後ろに掛けたらイワシ、オモリの順番で投入してね」
 私のアドバイスを忠実に守ってトラブルなく投入に成功。積極的に攻めたいという彼女のために仕掛けの捨て糸を30センチと短くしたので、
 「底ダチを取って1メートル巻き上げたところでアタリを待ってね。ヒラメは上から落ちてくるエサに反応するから、時どき竿を大きくゆっくりあおって静かにイワシを落とし込んでみて」と付け加える。
 「こっち側でアタっているみたいですよ!」と声がしたので行ってみると、左ミヨシ2番に座る神作さんがエサを飲み込ませている最中だった。
 時折ガツガツと竿をたたく力強さは良型であることを物語っている。
 ググーン!
 ついに竿が海面に持っていかれた。
 「今だ、竿を立てて!」と私が叫んでしまったのが災いしたのか、強く短い合わせをしてしまい痛恨のスッポ抜け。
 「まだヒラメはいるから竿をそのままにしていると食ってくるかも。イワシは死んでいるだろうから時どき竿をゆすってみて!」と大声を出してみたもののヒラメがエサを食い直すことはなく、私の願いは通じなかったようだ。
 船中あちこちで、
 「コツッとくるだけでおしまいだもんなぁ……」とかみ跡の付いたイワシを恨めしそうに見つめる釣り人が見受けられた。潮が動いていないのだろうか……。


 

 


 

 

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