初めての同行で知らなかったが、どうもこの3人、あまり上手とはいえないようだ。仕掛けはいつもツンツルテン、合わせ方も乱暴すぎる。
　撮影の合間に1度竿を出してみると、すぐにアタリがきて28センチの良型を取り込む。「あたしら、こんなに苦労してるのに」と言いたげに3人はジロリとこちらをにらむ。
　再び竿をカメラに持ち替える。3人の釣り方をよく見ていると、オモリを少し浮かせているようで、アタリを待っているときに穂先が少し曲がっている。
　湾フグは小さなアタリが出やすいゼロテンションで待つのが基本。さっそく3人に教えてあげたところ、Ｋ子さんがいきなり30センチ級を釣り上げ、隣の船もびっくりの高笑い。
　これで調子づいたＫ子さん、次から次とポンポンとフグを掛けていく。静かだった船上は彼女の歓声と笑い声一色。一方のUさん親子は根掛かりに苦労しているようで、釣りになっていない。
　ひととおり撮影を終えて私も参戦。アタリは頻繁だが、掛けられるのは5割程度。そこで胴つき仕掛けを外し、カットウだけで釣り始めると、打率は一気に上昇して10時過ぎまでに8尾の釣果。
　11時ごろから食いが遠くなる。船中でもポツポツ状態となり、船長はこまめに移動を繰り返す。納竿間際にもうひと山あって、結局船中20〜35センチを1〜10尾で終わる。翌日からはコンスタントにトップで15尾以上釣っており、どうやらこの日が釣果の谷間だったようだ。
　Uさん親子はそれぞれ3尾ずつ、Ｋ子さんは左舷トモの方と同数トップ。思いもよらぬ快挙に彼女はいつになくハイテンション、帰りの車中は耳鳴りがするほどでした。

［一郎丸］青木 淳船長