一方、川原氏の竿にはほとんどアタリがなく苦戦している様子。そこで時折誘いをかけるようにアドバイスしたところ、大きなアタリをキャッチ。期待しながら巻き上げると800グラム級のオニカサゴで、カツオのハラモとピンクのタコベイトを装着したハリにヒットしていた。
　ようやく良型の本命が釣れたので気合も入ったが、その後再び沈黙が続いたので、手石島南側の90メートルダチに移動。しかし、ここでは本命のアタリは見られず、私の竿に30センチ級のアヤメカサゴや35センチ級のホウボウが釣れたのみ。
　魚の活性が低いこの状況下、外道とはいえ私の竿に多くアタリが見られるのは集魚灯や装飾品の効果なのか？
　と考えていたとき、それまで沈黙を保っていた船長の竿に大きなアタリが出た。巻き上げられている道糸の先を注目していると、明らかに本命と分かる薄オレンジ色の影が浮かんできた。慣れた手つきで自身が差し出す玉網に収めたのは、1キロ級の本命。
　シンプル仕掛けで良型を釣り上げた船長を見ながら、
　「う〜ん……やはり集魚灯や装飾品は関係ないのか？」と弱気になってしまったが、残り時間わずかとなっていたので派手仕掛けを使い続けることにした。
　しかし、その後だれの竿にもアタリはないまま、薄暗くなりかけた午後5時に沖揚がりを迎えた。
　結局、本命のオニカサゴは小型も含めて船中4尾と今イチの釣果であったが、船長によると潮が澄んでいて、しかもほとんど動かなかったことが不振の原因ではないかとのこと。
　三好丸では例年3月いっぱいまでオニカサゴを狙っており、これから春先にかけて濁り潮が入るとオニカサゴも群れで入ってきて、いい日には1人で2ケタ釣果も珍しくないとのことであった。
　西側に山が連なる伊東沖は冬の季節風にも強いので、まだまだ寒さが厳しいこの時期、のんびりと日だまりのオニカサゴ釣りを楽しんでみてはいかが。

［第2三好丸］三好研吾船長