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フィッシングライター◎朝倉 真
掲載号: 2009年7月15日号
どうして私だけ…
当日はマルイカも顔を出した
やはり船長が言っていたとおり予想が難しい。好釣果が続いていたと思ったこの乗り渋りだ。
そんな船中の重苦しい雰囲気を払拭したのが右舷トモの平出さん。毎週長谷川丸に通っているという平井さんは自作の直ブラ仕掛け(スッテは5センチ)で手堅く数をのばしていた。
竿は全長1.8メートル、6:4調子のいわゆるゲームロッド。昨今のマルイカ釣りで流行っている直ブラのタタキ釣法ではなく、ソフトな誘いを入れてから止める釣り方に徹していた。
平井さんは底でイカの触りがあるとおっしゃっていたが、なるほど仕掛けの一番下の茶トラカラーのスッテに乗りが集中している。
不思議だったのはこのときプラヅノ仕掛けを使う私に全く乗らなかったこと。イカはプラヅノに飽きると小型のスッテに目が向くのかも!?
平出さんがイカを乗せ続けているのを見て、船長はこの真鶴沖で粘ることに決めた。
さらに時間がたつと底から5メートル上で乗り始めた。相変わらず単発ではあるが、今度は茶トラ以外の赤帽やブルーのスッテにも乗る。
船長によるとスッテを抱くイカは比較的小型が多いとか。たしかに左舷のプラヅノ組には胴長15センチサイズが多く取り込まれている。
私は平出さんを見習い直ブラ仕掛けに替えるも乗せられない。平出さんと同じカラーのスッテを使用してもダメ、同じタナを狙ってもダメ、釣り方を真似してもダメ。プラヅノ仕掛けに戻してもやはりダメだ。
「なんで乗らないの〜分からない!」と思わず叫んでしまうほどである。
残すところ1時間。朝イチに狙った港前のポイントに戻る。底から5メートル上までをていねいに探りながらイカのシグナルを待つことしばし。待望の群れに当たりポツポツとイカが釣れ上がった。
沖揚がりは15時。トップは平出さんで31杯。そのほかの皆さんも各自20杯ほどキープしていた。
かくいう私はまさかの1杯。見かねたベテラン土井さんが、
「おいしいから持って帰りな!」とイカを分けてくれた。
帰宅後、いただいたムギイカを刺身で食べたところ……食感は柔らかく、口に広がる甘味も最高。筆舌に尽くしがたい味であった(土井さん、ごちそうさまでした!)。
取材後日の情報によると、小田原南沖の水深80〜100メートルでニセイカサイズをトップ90杯台という日もありと、いかにも最盛期らしい乗りを見せている。これからしばらくは小田原沖から目が離せそうにない。
[長谷川丸]谷川元則船長
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